いまだに私のTLに次の図が流れてくる。先日も池戸万作氏と成田悠輔氏の討論で、成田氏がこの図を批判していた。アトキンソン氏も何度もこれを批判しているが、その論理がわかりにくい。
この図は島倉原氏が2021年に描いたものだ。彼はこれが「政府支出伸び率がゼロだったからGDP成長率がゼロだった」という因果関係を示すものだというが、多くの人が指摘するように、散布図は相関関係を示すだけで、因果関係の証拠にはならない。
因果関係を示すためには、そのしくみを明らかにする必要がある。この図の横軸は「一般政府部門の投資と消費の合計」となっているが、これは政府支出ではなく(国と地方の)歳出である。池戸氏は上の番組で
GDP=個人消費+民間投資+政府支出+純輸出
という式を出しているが、これは正確に書くと、GDPをY、消費をC、投資をI、歳出をG、税収をT、純輸出をXとして、
Y=C+I+G-T+X
GDPを決める政府支出は、歳出から税収を引いた財政赤字(G-T)である。その伸び率はゼロどころか、次の図のように1990年度の9.2兆円が2022年度には45.1兆円と5倍になった。

歳出と税収の推移(財務省)
島倉氏の図を正しく描くと、横軸の「財政支出伸び率」は日本では大きく右に飛び出すが、名目成長率はほぼゼロだった(これは正しい)。つまりMMTが出す数字は、彼らの主張とは逆に、政府支出を増やしても成長率は上がらないという事実を示しているのだ。
続きは1月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
積極財政派への致命的打撃
— デービッド・アトキンソン David Atkinson (@atkindm) January 13, 2023
以下の図表を持って、積極財政派は、政府支出を増やせば、経済は成長すると主張する。確かに、そう見える。
私は、この図表はただの相関関係であって、因果関係を示すものではないと主張して来た。
調べると、この図表に決定的な問題点がある。 pic.twitter.com/sXd3jNOAsl
この図は島倉原氏が2021年に描いたものだ。彼はこれが「政府支出伸び率がゼロだったからGDP成長率がゼロだった」という因果関係を示すものだというが、多くの人が指摘するように、散布図は相関関係を示すだけで、因果関係の証拠にはならない。
因果関係を示すためには、そのしくみを明らかにする必要がある。この図の横軸は「一般政府部門の投資と消費の合計」となっているが、これは政府支出ではなく(国と地方の)歳出である。池戸氏は上の番組で
GDP=個人消費+民間投資+政府支出+純輸出
という式を出しているが、これは正確に書くと、GDPをY、消費をC、投資をI、歳出をG、税収をT、純輸出をXとして、
Y=C+I+G-T+X
GDPを決める政府支出は、歳出から税収を引いた財政赤字(G-T)である。その伸び率はゼロどころか、次の図のように1990年度の9.2兆円が2022年度には45.1兆円と5倍になった。

歳出と税収の推移(財務省)
島倉氏の図を正しく描くと、横軸の「財政支出伸び率」は日本では大きく右に飛び出すが、名目成長率はほぼゼロだった(これは正しい)。つまりMMTが出す数字は、彼らの主張とは逆に、政府支出を増やしても成長率は上がらないという事実を示しているのだ。
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