日銀のYCC(長短金利操作)は0.5%という上限を突破され、けさも10年物金利は0.507%である。それも一昨日から2日間で10兆円という前代未聞の買い入れをやってもこの状態なので、日銀も長期金利を抑制するという目標を放棄したのかもしれない。

YCCの目的は、2013年から始めた量的緩和の失敗を挽回することだった。黒田総裁の始めたマネタリーベースの倍増で「期待に働きかける」という政策ではマネーストックが増えず、インフレにならなかったので、政策金利をマイナスにして自然利子率(均衡実質金利)に近づけようというのが、2016年に始まったマイナス金利だった。

中央銀行が短期金利をコントロールするのはおかしくないが、あまり深いマイナスにすると銀行の収益が悪化して緩和効果がなくなるリバーサルレートの問題が発生するので、長期金利も抑制するのが、同時に始まったYCCの目的だった。

これは筋の悪い政策である。長短金利のイールドカーブは債券市場で決まるが、長期金利を日銀が抑制すると、市場のリスク配分がゆがむ。図のように、日銀の買い入れている10年物国債の金利だけが凹んで低く、5年物と15年物の金利を線形で補完すると、10年債の金利は0.8%ぐらいになってもおかしくない。

ycc
国債のイールドカーブ(Investing.com)

これがマーケットの実勢なので、それにさからうYCCは、昔の固定為替相場のようなもので、いずれ突破される運命だった。来週の金融政策決定会合で指し値を0.75%に上げても、市場のアタックは止まらないだろう。YCCは徐々に上限を切り上げて撤廃するしかない。

続きは1月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)