normal_kadomatsu

明けましておめでとうございます。今年も年賀状は出さないので、ブログでごあいさつ。この年になると、人生の終わりを意識することが増えます。人生を後ろからみると、昔とは違う風景がみえてきます。

日本の個人金融資産2000兆円の約60%は60歳以上が保有していますが、これを60歳以上の人口3600万人で割ると1人3300万円。残る平均余命を25年とすると毎年132万円です。サラリーマンの場合は、これに加えて年金が毎年240万円あるので、人生の予算制約が実質的になくなります。わが家は子供がいないので、残る健康寿命では使い切れない。

貯蓄過剰になった日本では、このような予算制約の喪失(soft budget constraint)があらゆる面で起こっています。その最たるものが財政です。
主流派の財政理論では、本源的な財源は税だけなので、負担を無限に先送りするネズミ講は不可能で、いつかは増税で償還しないといけない。これは論理的には正しいが、償還がたとえば100年後だったら、今の現役世代は生きていないので、無限の将来と同じです。

そんな遠い将来の心配をするより今の需要不足を埋めることが大事だ、という考え方はありうるが、それはいつまでも続けられません。老年期にさしかかった日本では、有限の人生の終わりがみえています。長期的には、貯蓄率は高齢化で下がり、高金利・インフレの時代は、それほど遠くないでしょう。日銀の利上げは、その第一歩です。

高齢化を恐れる必要はありませんが、健康寿命が縮むといろいろな人に迷惑をかけます。国債の最大の役割は社会保障会計の赤字の穴埋めであり、それはいずれ社会保険料の負担増になります。これ以上、現役世代の負担を増やすと、彼らの労働意欲がなくなり、日本の老化が加速するでしょう。すでに婚姻率と出生率は、コロナで激減しています。国の健康寿命を守る改革が必要だと思います。