世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 (NewsPicksパブリッシング)
贈与は、モースからグレーバーに至るまで、人類学の中心的テーマである。資本主義は近代西欧に固有のシステムであり、市場経済もそれほど普遍的なルールではない。人類の圧倒的多数は市場を通さない贈与で生活してきたので、そのしくみを明らかにすることは、本来は経済学者の仕事である。

しかし新古典派経済学は、対象を価格メカニズムに限定したので、贈与に取り組んだのはバタイユやフーコーぐらいだが、いずれも未完に終わった。今も贈与を成り立たせるメカニズムは不明である。

本書の「世界は贈与でできている」という発想はいいが、そのあとの話が散らかって、何を言いたいのかわからない。主題になっているウィトゲンシュタインの話もトンチンカンだ。贈与は単なる言語ゲームではなく、資源を他人に与える相互依存であり、おそらく言語より古いのだ。

肉体的に弱いホモ・サピエンスが、生存競争の中で生き残る戦略として発見したのが、集団行動だった。人類は直立歩行で自由になった手で道具をつくり、大きな脳で他の個体と協力して、大型哺乳類を殺す技能を獲得した。集団行動のためには他人とコミュニケーションをとり、自分が集団のメンバーであることを示す必要があるが、その通信手段が贈与だった。

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