日銀の利上げは、ほとんどの市場関係者にとってもサプライズだったようだ。普通に考えれば、1ドル=150円になった今年10月に上げればよかったのに、なぜ今なのか。これは黒田総裁に戦略があったようにはみえない。要するに、タイミングを逃したということだろう。

ではなぜいま上げたのか。その一つの理由は、国債の市場が国際化し、海外ファンドのアタックが激しくなったことだろう。今回はブルーベイという小さなファンドだったが、アメリカの金利が落ち着いたら、大手の債券ファンドがJGBの空売りをかけてくるかもしれない。

もう一つの理由は、不発だった異次元緩和の出口戦略である。彼の退任する来年4月に向けて、それを脱却して後任に引き継ぐ必要がある。黒田総裁は「雇用など緩和効果はあった」と強調したが、コアCPIが2%を超えても利上げできないのは、緩和が効果を上げていないからじゃないか――という批判を避けるため、徐々に上げて形をつくるのだろう。

それにしても535兆円と国債残高の半分を超えた日銀の保有国債を減らすのは、容易な仕事ではない。ちょっと間違えると為替が大きく動き、国債が暴落し、最悪の場合は金融危機をまねく。今までは「時期尚早」といって先送りしてきたが、散らかしたまま後任にまかせるのは無責任だろう。

日銀のバランスシートから国債を消す方法として今まで提案(あるいは実行)されたのは、次の5つである。
  1. 日銀が国債を市場で売却する
  2. 日銀が政府の償還に応じる
  3. 日銀が償還を求めないと宣言する
  4. 政府が国債を永久債で借り替える
  5. 政府が財政赤字を増やしてインフレ税をかける

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