世界インフレの謎 (講談社現代新書)
世界的にインフレが進行しているが、日本の消費者物価上昇率は、先行指標の東京都区部の10月の総合指数でも3.5%。円安で輸入インフレになるといわれたが、輸入物価は1年で50%近く上がったのに、消費者物価はほとんど上がっていない。

このように日本の物価だけが上がらない原因はいろいろ考えられるが、著者はデフレ予想が最大の原因だと考える。次の図のように日常的に買う商品のほぼ4割の価格が変わらないので、消費者はデフレ予想をもち、企業も価格を上げない。他の企業が上げないと自社だけ上げるわけにはいかない…というループに入る。

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これは「日本人の国民性」ではない。1970年代に石油価格が上がったときは、日本の物価も海外と同じように上がった。今回の特徴は、エネルギー価格が上がったのに、それが最終財に転嫁されていないことだ。それはなぜだろうか。

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