楽天の騒ぎでまた電波オークションが話題になっているが、不思議なのは総務省がオークションを拒否する姿勢である。オークションは日本以外のOECD諸国では導入されているが、総務省が最後までこれを拒否するのは、業者との密約があるからだ。これはNOTTVの例でみるとよくわかる。

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この問題は2007年に、2.5ギガヘルツ帯の比較審査が行なわれたときにさかのぼる。このとき4グループの中でドコモが落選し、ウィルコムが当選したが、経営が破綻してカーライル・グループに買収され、さらにソフトバンクが買収した。同社が経営の破綻したウィルコムを買収したのは、4G(第4世代)と呼ばれる900メガヘルツ帯の割り当てで総務省に貸しをつくる密約だった。

他方、総務省が2.5ギガ帯でドコモを落としたのは、2011年にアナログ放送をやめて空くVHF帯を与える取引だった。VHF帯には外資のクアルコムが参入しようとしており、これに対して民放連が既得権を守ろうとしていたので、通信業者の協力が必要だったのだ。

クアルコムは最後まで粘り、衆議院議員会館で公聴会が開かれた。民主党の議員が「オークションをやれ」と追及したが総務省は拒否し、電波監理審議会はわずか2時間の審議でドコモ=民放連グループのNOTTVに免許を与えた。それはわずか3年で破綻し、VHF帯はあいたままだ。

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