China Transformed: Historical Change and the Limits of European Experience
習近平は中国の伝統的な皇帝に似てきたが、彼をブルボン王朝やロマノフ王朝のような専制君主と考えるのは間違いである。中国の王朝は、むしろ伝統的に弱い国家だった、と本書はいう。

何しろ人口が多すぎるため、官僚も軍隊もそれに比べるとわずかなもので、皇帝の権力も地方には及ばなかった。皇帝の下に中央官僚がいて省があり、その下に各地方の知県(知事)…というように多くの階層があり、それぞれの段階で上の支配者が下の階層を収奪した。それは国王と国民というより、宗主国と植民地の関係に近い。

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この支配構造を、著者(王国斌)はフラクタル構造と呼んでいる。大きなピラミッドの中に同型の小さなピラミッドがあり、その中にさらにピラミッドが…というように自己相似的な構造になっている。これは日本と同型だが、意思決定の方向が逆である。

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