円安が加速して、1ドル=148円台になった。8月の貿易赤字は2.5兆円と過去最大になり、経常収支の黒字も昨年同期より96%減った。これはウクライナ戦争による燃料費の値上がりの影響が大きいが、円安でドルベースの輸入額が増えた影響も加わっている。貿易赤字は円安要因だから、150円は時間の問題だろう。

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私が「1ドル=150円で日本経済はよみがえる?」という記事を書いたのは2020年9月1日だが、そのときは1ドル=105円だった。150円というのは冗談のようなものだったが、根拠はあった。開放経済のISバランスで考えると

 貯蓄-投資=財政赤字+経常黒字

だから、為替レートがISバランスを均衡させるように動くとすると、国内に貯蓄超過(左辺)があるかぎり、一定の経常黒字が必要だ。2010年代に財政赤字は減ったので、経常黒字は増える必要がある。2020年にはコロナで財政赤字が増えたが、貯蓄も増えたので、経常黒字はほぼ同じだった。

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日本のISバランス(小川製作所)

問題はこれがどこまで進むのかである。ISバランスを均衡させるレートを自然為替レートと呼ぶと、上の式で経常黒字がゼロになると、

 貯蓄-投資=財政赤字

だから、さらに貯蓄過剰になって円安になる。これを止めるには、今より大きな財政赤字が必要だ。これは厄介な状況である。

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