言論アリーナでは、與那覇潤さんと一緒に『長い江戸時代のおわり』の続きの話をしたが、ここでも話題になったのが、安倍元首相の暗殺事件のあとの統一教会騒ぎだ。これはワイドショーが安倍氏を攻撃する代わりに統一教会を攻撃しているものだが、その背後には強いリーダーをきらう日本人のルサンチマンがある。

動物が集団で生活するとき、そのメンバーの序列をどう決めるかは重要な問題である。集団を共通利益ゲームと考えると、互いに裏切る(相手を殺して食う)と、争いが起こって集団は瓦解してしまう。

それを避けるために、多くの類人猿では猿山のような序列をつくり、劣位の猿は優位の猿に服従する。これはチキンゲーム(共通利益ゲームの一種)で、どちらかがチキンになって服従することがナッシュ均衡だが、最適解ではない。チキンが不満をもつので、争いが起こりやすい。

それに対して人間(ホモ・サピエンス)は平等主義で、互いに争わない。これが自己家畜化で、最近ではBAZ1Bという(人間にも家畜にも共通の)家畜化をになう遺伝子が特定されたという。

しかし自己家畜化は、ナッシュ均衡ではない。チキンの群れの中に狼が入ると、すべてのチキンを食い物にできるからだ。そこで平和を守るために狼を排除するのが王殺しや村八分である。

縄文時代の日本人は、こうした平和主義で、1万年以上も「閉じた社会」を守ったと思われるが、もう一つの解がある。それは狼がチキンを徹底的に食い物にし、猿山のような序列をつくることだ。それが国家である。

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