今年のノーベル物理学賞に、アラン・アスペなど3人が選ばれた。授賞理由は「量子もつれ、ベルの不等式の破れの確立、量子情報科学の開拓」。アスペの実験は1982年に行われたものだが、今ごろ受賞したのは量子コンピュータが実用化する可能性が出てきたからだろう。
ベルの不等式は、シュレーディンガー方程式から出てくるパラドックスで、量子力学の教科書でおなじみの2スリット実験と本質的に同じである。昔は単なる思考実験だったが、最近、日立が本当に電子を1個ずつ発射して証明した。
電子を発射すると、最初は図のbのように1個ずつ粒子が見えるが、電子が増えると図のdのように干渉縞ができる。電子は1個だけなのに干渉が起こるのは、電子の位置が決まっていないためだ。しかし電子がどっちのスリットを通ったかを人間が観測すると、こういう干渉は起こらず、bのように粒子として見える。

つまり人間が観測していないとき電子は複数あるが、観測すると一つになると考えるしかない。アインシュタインはそんなオカルト的な遠隔作用はありえないと考えた。ある物理学者はこう書いている。
アスペの実験は、アインシュタインが間違っていることを証明した。その遠隔作用は光速より速いので、この量子もつれはコンピュータの演算素子として(原理的には)実用化できる。
続きは10月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
ベルの不等式は、シュレーディンガー方程式から出てくるパラドックスで、量子力学の教科書でおなじみの2スリット実験と本質的に同じである。昔は単なる思考実験だったが、最近、日立が本当に電子を1個ずつ発射して証明した。
電子を発射すると、最初は図のbのように1個ずつ粒子が見えるが、電子が増えると図のdのように干渉縞ができる。電子は1個だけなのに干渉が起こるのは、電子の位置が決まっていないためだ。しかし電子がどっちのスリットを通ったかを人間が観測すると、こういう干渉は起こらず、bのように粒子として見える。

つまり人間が観測していないとき電子は複数あるが、観測すると一つになると考えるしかない。アインシュタインはそんなオカルト的な遠隔作用はありえないと考えた。ある物理学者はこう書いている。
アインシュタインと散歩していたとき、彼は不意に足を止め、私のほうを向いて「君が見上げているときだけ、月が存在していると本当に信じるのか?」と尋ねた。
アスペの実験は、アインシュタインが間違っていることを証明した。その遠隔作用は光速より速いので、この量子もつれはコンピュータの演算素子として(原理的には)実用化できる。
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