安倍晋三氏の死は、首相を8年近くつとめた後なのに「志なかば」という印象を与える。それは彼の窮極の目的が、戦後レジームからの脱却だったからだろう。GHQに武装解除された「戦後民主主義」を否定し、独立国としての主権を取り戻すことは、彼が岸信介から引き継いだ悲願だった。

戦後の日本政治では、奇妙にねじれた対立構造が続いてきた。他の西側諸国では、自由経済を掲げる保守政党と社会主義の影響を受けた社民政党(アメリカの民主党を含む)の政権交代があったのに対して、日本では社民が育たなかった。

その最大の原因は、GHQ民政局の社会主義的な戦後改革で、国の中核に社民主義を抱え込んだからだ。農地改革で大地主はいなくなり、財閥解体で資本家もいなくなった。憲法で武装解除して、米軍がずっと駐留する「属国」にしてしまった。

国家警察も解体されて自治体警察になり、国家神道も解体されて靖国神社は民営になった。いま問題になっている「弱い警察」や宗教法人の過保護も、半社会主義的な戦後レジームの一環である。安倍氏がその犠牲になったのは皮肉だった。

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