「医療・介護産業」のタブーに斬りこむ! 日本国・不安の研究
医薬分業は、13世紀に神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世が、自分に処方させた薬を薬剤師にチェックさせたのが始まりだといわれ、医師と薬剤師は伝統的に別のギルドだった。しかし日本では医師が薬を調合するのが普通で、戦後は薬価差益が医師の最大の収入源だったため、医療費の50%近くが薬剤費という異常な状態だった。

しかし1974年に、日本医師会の武見太郎会長が診療報酬の大幅引き上げを要求したことから、処方箋の点数が大幅に引き上げられ、その処方箋を受け付ける薬局が生まれた。厚生省も医薬分業を進めるために調剤薬局に調剤技術料というインセンティブを与えた。

これも年々上がり、今は国民医療費43兆円のうち、調剤技術料が1.9兆円である。マクロ的な数字ではわかりにくいが、本書のあげている70歳の患者の例だと、院内処方だと320円の薬が調剤薬局では3450円になる。患者の本人負担はこの3割の場合でも1000円を超える。

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このように医療費のコストは3割負担なので見えにくいが、残りは健康保険料と公費(税金)でまかなわれるので、結局は国民負担である。調剤医療費7.5兆円の25%が、院内処方なら必要ない「門前薬局」のコストなのだ。

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