安倍元首相の発言が論議を呼んでいる。発言の内容は「日銀は政府の子会社だから、国債の60年の満期が来たら借り換えられるので心配ない」とのことだが、これは安倍氏の持論で、間違いではない。

野党が「日銀の独立性を侵害する」と騒いでいるのは見当違いである。正しく理解しているのは、国民民主党の玉木代表だけだ。

中央銀行の独立性は普遍的なルールではなく、1970年代のスタグフレーションのとき、中央銀行が財政従属になり、政府の景気対策の財源を調達するために金融を過剰に緩和したことからできたルールである。

日本でも1980年代のバブルを日銀が止められなかったという反省から、1998年に日銀法が改正されたが、このときは政府機関に国会からの「独立性」を保障するのは憲法違反だという議論もあった。

しかし今は政府が「悪い円安」を恐れて「物価対策」の補正予算を組む一方で、日銀がインフレを起こすために量的緩和をやるという逆転が起こっており、日銀の独立性というルールは時代錯誤である。むしろ日銀が関東軍になるのを防ぐために、統合政府の債務管理が必要だ。

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