FRBが初めて中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての報告書を出すという。今までデジタル通貨といえば、ビットコインのようなあやしげなものしかなかったが、デジタルドルは経済システムを根本的に変える可能性がある。
ブロックチェーンは「Web3」の中核技術だが、10年以上前の枯れたテクノロジーである。これはセキュリティは完璧だが、価格が不安定なので、通貨としては使えない。「分散台帳」のような用途はあるが、それほど大きな市場ではない。セキュリティが重すぎるからだ。
しかし中央銀行券には、最大限に重いセキュリティが必要である。今でも日銀券は「日銀ネット」として電子化されているが、これは民間銀行との間に限定した卸し売りのネットワークである。ブロックチェーンで100%安全な日銀券ができれば、銀行を中抜きして全国民が利用する小売りの日銀ネットができる。
日銀がすべての決済を行うことは、紙幣では不可能だが、電子的には可能である。これによって銀行の決済機能はなくなり、信用創造はできなくなる。フリードマンやフィッシャーの提案したシカゴプランが実現でき、金融危機は原理的になくなる。
しかし銀行の本質的な役割がなくなるわけではない。銀行はリスクを配分する金融仲介機能に特化し、安全資産はデジタル日銀券で預金して銀行規制を撤廃し、自由にリスクを取ることができる。このような金融システムが理想であることは理論的にはわかっているが、政治的にはきわめて困難だ。
これが金融危機の原因であり、銀行規制の根拠である。こういう考え方は持株会社や自己資本規制という形で金融規制にも取り入れられているが、決済機能と金融仲介機能は完全には分離されていない。
信用創造がなくなると、過渡的には信用収縮が起こるが、長期的にはすべての有価証券が自由にリスクを取ることができ、社会全体の収益率は上がる。これはIMFもシミュレーションし、GDPが10%ぐらい上がると推定している。
通貨をすべてCBDCに置き換えると、マネタリーベースは機動的にコントロールでき、マイナス金利も自由につけることができる。金融規制は廃止し、すべての企業が自由に銀行を経営でき、利益の大きい金融は大成長産業になる。資金循環はガラス張りになり、脱税も不可能になるが、それゆえに政治的にはむずかしい。
今は株式の配当には法人税が課税されるのに、支払い利息は経費として控除できる非対称性があるため、負債で資金を調達することが有利になる。こういう税制のゆがみも昔から指摘されているが、是正されない。
しかしフェイスブックの「リブラ」など、民間でもデジタル通貨が計画されている現状では、中央銀行が何もしないと、その存在意義が失われる。FRBがデジタルドルを発行するのは(少なくとも卸し売りベースでは)時間の問題だろう。日銀もデジタル通貨を開発しているので、円の競争力を維持するにはデジタル日銀券が必要だ。意外にその実現は早いかもしれない。
ブロックチェーンは「Web3」の中核技術だが、10年以上前の枯れたテクノロジーである。これはセキュリティは完璧だが、価格が不安定なので、通貨としては使えない。「分散台帳」のような用途はあるが、それほど大きな市場ではない。セキュリティが重すぎるからだ。
しかし中央銀行券には、最大限に重いセキュリティが必要である。今でも日銀券は「日銀ネット」として電子化されているが、これは民間銀行との間に限定した卸し売りのネットワークである。ブロックチェーンで100%安全な日銀券ができれば、銀行を中抜きして全国民が利用する小売りの日銀ネットができる。
日銀がすべての決済を行うことは、紙幣では不可能だが、電子的には可能である。これによって銀行の決済機能はなくなり、信用創造はできなくなる。フリードマンやフィッシャーの提案したシカゴプランが実現でき、金融危機は原理的になくなる。
しかし銀行の本質的な役割がなくなるわけではない。銀行はリスクを配分する金融仲介機能に特化し、安全資産はデジタル日銀券で預金して銀行規制を撤廃し、自由にリスクを取ることができる。このような金融システムが理想であることは理論的にはわかっているが、政治的にはきわめて困難だ。
金融は全面的に自由化されて大成長産業になる
まず決済機能がなくなると、銀行の最大の収益源である信用創造ができなくなるので、銀行業界は猛反対するだろう。短期で借りた預金を長期で貸すビジネスが中世以来の銀行の特権だが、危険なシステムである。銀行の預金準備率は1%程度なので、すべての預金者が引き出す取り付けが起こると、原理的に払い戻しできない。これが金融危機の原因であり、銀行規制の根拠である。こういう考え方は持株会社や自己資本規制という形で金融規制にも取り入れられているが、決済機能と金融仲介機能は完全には分離されていない。
信用創造がなくなると、過渡的には信用収縮が起こるが、長期的にはすべての有価証券が自由にリスクを取ることができ、社会全体の収益率は上がる。これはIMFもシミュレーションし、GDPが10%ぐらい上がると推定している。
通貨をすべてCBDCに置き換えると、マネタリーベースは機動的にコントロールでき、マイナス金利も自由につけることができる。金融規制は廃止し、すべての企業が自由に銀行を経営でき、利益の大きい金融は大成長産業になる。資金循環はガラス張りになり、脱税も不可能になるが、それゆえに政治的にはむずかしい。
今は株式の配当には法人税が課税されるのに、支払い利息は経費として控除できる非対称性があるため、負債で資金を調達することが有利になる。こういう税制のゆがみも昔から指摘されているが、是正されない。
しかしフェイスブックの「リブラ」など、民間でもデジタル通貨が計画されている現状では、中央銀行が何もしないと、その存在意義が失われる。FRBがデジタルドルを発行するのは(少なくとも卸し売りベースでは)時間の問題だろう。日銀もデジタル通貨を開発しているので、円の競争力を維持するにはデジタル日銀券が必要だ。意外にその実現は早いかもしれない。


