FRBが初めて中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての報告書を出すという。今までデジタル通貨といえば、ビットコインのようなあやしげなものしかなかったが、デジタルドルは経済システムを根本的に変える可能性がある。
ブロックチェーンは「Web3」の中核技術だが、10年以上前の枯れたテクノロジーである。これはセキュリティは完璧だが、価格が不安定なので、通貨としては使えない。「分散台帳」のような用途はあるが、それほど大きな市場ではない。セキュリティが重すぎるからだ。
しかし中央銀行券には、最大限に重いセキュリティが必要である。今でも日銀券は「日銀ネット」として電子化されているが、これは民間銀行との間に限定した卸し売りのネットワークである。ブロックチェーンで100%安全な日銀券ができれば、銀行を中抜きして全国民が利用する小売りの日銀ネットができる。
日銀がすべての決済を行うことは、紙幣では不可能だが、電子的には可能である。これによって銀行の決済機能はなくなり、信用創造はできなくなる。フリードマンやフィッシャーの提案したシカゴプランが実現でき、金融危機は原理的になくなる。
しかし銀行の本質的な役割がなくなるわけではない。銀行はリスクを配分する金融仲介機能に特化し、安全資産はデジタル日銀券で預金して銀行規制を撤廃し、自由にリスクを取ることができる。このような金融システムが理想であることは理論的にはわかっているが、政治的にはきわめて困難だ。
続きは1月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
ブロックチェーンは「Web3」の中核技術だが、10年以上前の枯れたテクノロジーである。これはセキュリティは完璧だが、価格が不安定なので、通貨としては使えない。「分散台帳」のような用途はあるが、それほど大きな市場ではない。セキュリティが重すぎるからだ。
しかし中央銀行券には、最大限に重いセキュリティが必要である。今でも日銀券は「日銀ネット」として電子化されているが、これは民間銀行との間に限定した卸し売りのネットワークである。ブロックチェーンで100%安全な日銀券ができれば、銀行を中抜きして全国民が利用する小売りの日銀ネットができる。
日銀がすべての決済を行うことは、紙幣では不可能だが、電子的には可能である。これによって銀行の決済機能はなくなり、信用創造はできなくなる。フリードマンやフィッシャーの提案したシカゴプランが実現でき、金融危機は原理的になくなる。
しかし銀行の本質的な役割がなくなるわけではない。銀行はリスクを配分する金融仲介機能に特化し、安全資産はデジタル日銀券で預金して銀行規制を撤廃し、自由にリスクを取ることができる。このような金融システムが理想であることは理論的にはわかっているが、政治的にはきわめて困難だ。
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