世界的にインフレ懸念が強まっている状況で、MMTのバラマキが流行しているのは日本だけだ。先日の記事の続きだが、ブランシャールがMMTについてコメントしているので、紹介しておこう。

彼は財政について二つの見方があるという。第一は彼が純粋財政論と呼ぶもので、需給ギャップの調節は金融政策で行ない、財政は長期の資源配分(成長率の最大化)を行うという正統派の立場だ。

第二はラーナーの機能的財政論で、需給ギャップをすべて財政政策で埋めるべきだという理論である。これをブランシャールはMMTと解釈しているが、それほどナンセンスな話ではない。

純粋財政論では、財政によって需要不足を補うことは資源配分をゆがめるので、総需要の調節は金融政策でやるべきだという。これは現在のようにゼロ金利制約が強いときは使えない。

それでは機能的財政論(MMT)が正しいかといえば、これも「極端な考え方」だとブランシャールはいう。ラーナーは将来世代の負担を無視して短期で考えているが、長期の維持可能性を考えると、インフレにならないかぎり財政赤字を増やすのは、日本のように物価の「上方硬直性」が大きいときは、無限に財政赤字を拡大する結果になって危険だ。

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