日本の「江戸時代システム」が行き詰まっていることは明らかだが、それに代わるシステムはあるだろうか。ファーガソンは近代国家は軍事機能を縮小し、人口1000万人以上のメガシティを中心とする都市国家に戻るべきだという。
国家の形態として、もっとも効率的なのは都市国家である。世界の一人あたりGDPの上位にもルクセンブルク、香港、シンガポールなどの都市国家が並んでいる。それは軍事的には主権国家に勝てなかったが、現代の戦争においては地上戦は大した問題ではない。
日本は日米同盟でアメリカに国防を「外注」しているので、少なくとも大都市は都市国家としてやっていけるだろう。都市国家に議会は必要ない。シンガポールのように選挙で選ばれた独裁的な市長が決定し、それがいやな人はexitして他の都市に行けばいいので、制度間競争で効率的な都市が生き残る。
もう一つの解は、全員が同じ都市にずっといることを前提にして、民主的なvoiceで意思決定することだ。Rosenthal-Wongによると、これが中世の都市国家のガバナンスだった。これは交渉問題が発生するので効率が悪いが、だめな国家は戦争で負けるので、結果的にはexitが機能した。
日本の幕藩体制は都市国家に似ているが、その戦争を禁止し、武士も農民も藩という「家」にしばりつけた点で世界史上に例をみない。これは対外的な戦争には弱いが、幸運なことに250年間、戦争が起こらなかったので、この「家」が日本人の脳内に文化的遺伝子として刷り込まれたのではないか。
続きは11月日22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
国家の形態として、もっとも効率的なのは都市国家である。世界の一人あたりGDPの上位にもルクセンブルク、香港、シンガポールなどの都市国家が並んでいる。それは軍事的には主権国家に勝てなかったが、現代の戦争においては地上戦は大した問題ではない。
日本は日米同盟でアメリカに国防を「外注」しているので、少なくとも大都市は都市国家としてやっていけるだろう。都市国家に議会は必要ない。シンガポールのように選挙で選ばれた独裁的な市長が決定し、それがいやな人はexitして他の都市に行けばいいので、制度間競争で効率的な都市が生き残る。
もう一つの解は、全員が同じ都市にずっといることを前提にして、民主的なvoiceで意思決定することだ。Rosenthal-Wongによると、これが中世の都市国家のガバナンスだった。これは交渉問題が発生するので効率が悪いが、だめな国家は戦争で負けるので、結果的にはexitが機能した。
日本の幕藩体制は都市国家に似ているが、その戦争を禁止し、武士も農民も藩という「家」にしばりつけた点で世界史上に例をみない。これは対外的な戦争には弱いが、幸運なことに250年間、戦争が起こらなかったので、この「家」が日本人の脳内に文化的遺伝子として刷り込まれたのではないか。
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