インターネットが世界に急速に普及し始めた1990年代、多くの人がこれによって情報が民主化され、大企業の支配が終わってベンチャー企業の時代が来るだろうと予想しました。その予想は、ある意味では当たりました。今は誰でもツイッターで世界に情報を発信でき、誰でもネット企業を経営できます。

しかしその結果生まれたのは平等で民主的な世界ではなく、GAFAと呼ばれる巨大企業が情報と富を独占するオーウェル的な世界でした。グローバル企業の独占は国境を超えて拡大し、今やかつてのIBMをはるかにしのぐ「ビッグブラザー」になりました。他方で賃金は上がらず、格差は拡大しています。

資本主義が終わって自律分散型の「情報社会」が来るという夢は消え、グローバルな独占資本主義が生まれているようにみえます。これに対する反発が全世界で起こり、かつて税制などでネット企業を育成していた各国政府も、最近は独占の拡大を警戒し、GAFAに対する規制を強めています。

他方、日本経済はデジタル革命に取り残され、停滞したままです。デフレやマイナス金利の最大の原因は、このグローバルな独占的競争に日本企業が対応できなかったことですが、政府はいまだに何が起こっているのかわからないまま、財政・金融政策のバラマキを続けています。

2021年1月からのアゴラ読書塾「デジタル資本主義の未来」では、いま資本主義に起こっている構造変化について最新のデータや研究を紹介し、その未来を受講者のみなさんと一緒に考えたいと思います。

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