専門家会議も国立感染症研究所も認めたように、日本の新型コロナウイルスの感染が3月末でピークアウトしたことは明らかである。この原因が4月7日の緊急事態宣言ではないことも明らかだが、では原因は何だろうか。

多くの人が指摘しているのは、3月からヨーロッパ・アメリカからの入国制限が強化され、3月末で(日本人の帰国者を除いて)ほぼ全面禁止になったことだ。ABOFANブログは、ヨーロッパからの帰国者を説明変数として新規感染者数をシュミレーションしている。

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新規感染者数のシミュレーション(ABOFAN)

これは専門家会議の出した新規感染者数(発症日ベース)とほぼ同じである。つまり3月の感染は標準的な疫学理論の想定する閉鎖系の中の現象ではなく、海外から輸入された感染だったと考えることができる。

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全国の実効再生産数(専門家会議)

2月下旬にイタリアで感染爆発が起こり、そこから全欧に感染が広がったので、ヨーロッパから来る外国人が増えると感染が増えるのは当然だが、不思議なのは4月以降、感染拡大が止まったことだ。普通は国内にウイルスが入ると感染が拡大するので、水際対策は無意味だとされている。

ところがコロナウイルスは、日本国内に入ると、急におとなしくなったようにみえる。ABOFANは再生産数を0.8と推定している。これは専門家会議の実測値とほぼ同じだが、2を超えていたヨーロッパよりはるかに低い。

ここから推定できるのは、感染の拡大を止めたのは自粛ではなく水際対策だったということである。従来の感染症の常識では、再生産数はどこの国でもほとんど同じなので、ウイルスが国内に広がったあとは海外からの流入を水際で止めるのは無意味だとされている。

だが今回はそうではなかった。コロナウイルスが国内に入ったあとも、海外から入ってきた外国人の感染力は日本人よりはるかに強いので、それを検疫で止める水際対策が有効だったのだ。では日本人の感染力がこれほど弱い原因は何だろうか?

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