おとといの記事でMMTを評価したら、「池田信夫が正しいことをいってる!」とリフレ派が喜んでいるようだが、MMTはネトウヨの素朴ケインズ主義に近い。リフレ派の「日銀がインフレ目標2%と量的緩和でインフレを起こせる」という主張は、その日銀によって完璧に反証された。

そこでリフレ派は最近は「金融政策で失業率が決まる」といい出した。金融政策でインフレが起こって失業率が下がるはずだったが、インフレが起こらないのに失業率が下がったので、苦しまぎれに「目標はインフレじゃなくて失業率だ」と話をすりかえたわけだ。最近は「金融政策で自殺率が決まる」と言い出した。

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この図を見るとおもしろいのは、自殺率が下がり始めたのが2008年、つまり日銀の白川総裁が就任した年だということだ。失業率が下がり始めたのも民主党政権の時代で、2013年以降の安倍政権でもペースは変わらない。「アベノミクスは2014年の消費増税で挫折した」というのがリフレ派の言い訳だが、その時期にも失業率は単調に下がっている。

日本で失業率と自殺率の相関が高いことはよく知られているので、もし金融政策で失業率が決まるとすると、ここから論理的に導かれる結論は、失業率を下げたのは白川総裁の金融政策であるということになる。こういう論理を自殺論法(self-defeating logic)という。

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