アゴラを創立した2009年1月には、まだ「リフレ論争」があった。経済学界では2000年代前半に論争があり、理論的には効果がないことがわかっていたが、やってみる価値はあった。日銀も福井総裁の時代に世界初の「量的緩和」を始めたが、だめだった。しかし「リーマンショック」で論争が再燃し、政治家がまた騒ぎ始めた。
民主党政権は日銀を敵視し、副総裁や審議委員の人事に拒否権を発動した。安倍政権も日銀総裁や審議委員にリフレ派を起用したが、やはりだめだった。最近は彼らもリフレとはいわなくなり、財政拡大派のネトウヨと合流したようだが、いまだに政治家には人気がある。その原因は考えてみる価値がある。
いつの時代にも拡張的な財政・金融政策は人気があるが、長期的にはインフレが起こって誰もが損する、というのがフリードマンの自然失業率の理論だった。これで「ケインジアン対マネタリスト」の論争には決着がついたが、21世紀にはこういう古典的な理論で説明できない状況が起こっている。
景気刺激を続けても、よくも悪くもインフレにならない。金利が上がって財政が破綻するという状況も起こらない。この意味でリフレ派だけでなく、財政タカ派も敗北したのだ。効果はないかもしれないがコストもないなら、インフレが起こるまで実験してみればいい(起こったら止めればいい)という安倍政権の発想は成り立つが、問題はなぜこうなったかわからないことだ。
続きは1月14日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。
民主党政権は日銀を敵視し、副総裁や審議委員の人事に拒否権を発動した。安倍政権も日銀総裁や審議委員にリフレ派を起用したが、やはりだめだった。最近は彼らもリフレとはいわなくなり、財政拡大派のネトウヨと合流したようだが、いまだに政治家には人気がある。その原因は考えてみる価値がある。
いつの時代にも拡張的な財政・金融政策は人気があるが、長期的にはインフレが起こって誰もが損する、というのがフリードマンの自然失業率の理論だった。これで「ケインジアン対マネタリスト」の論争には決着がついたが、21世紀にはこういう古典的な理論で説明できない状況が起こっている。
景気刺激を続けても、よくも悪くもインフレにならない。金利が上がって財政が破綻するという状況も起こらない。この意味でリフレ派だけでなく、財政タカ派も敗北したのだ。効果はないかもしれないがコストもないなら、インフレが起こるまで実験してみればいい(起こったら止めればいい)という安倍政権の発想は成り立つが、問題はなぜこうなったかわからないことだ。
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