安田純平事件はいろいろな波紋を呼んでいるが、こういう人質事件は世界的にみると珍しくない。岡本行夫氏の国会証言によると、ホルムズ海峡では2000年以降にソマリア海賊の襲撃は1000回を超え、4000人を超える人質が取られたという。

海賊やテロリストの目的は、第一義的にはカネである。過去の人質事件では自衛隊の撤退や囚人の解放を求めたりしたので「彼らの話を聞いてやれ」などという平和ボケもいるが、いくらテロリストの話を聞いても、カネを払うまで人質は解放しない。ときには他のグループに転売することもある。今回はカタール政府が身代金を払ったともいわれるが、それは最終的には日本政府が負担することになろう。

この種の事件は、今後も起こる可能性がある。そのとき大事なのは、アドホックに対応しないことだ。事前にルールを決め、それに違反した者にはペナルティを課す。今回のように政府が渡航禁止した国に入国した場合は救出費用を請求し、パスポートを没収して出国を永久に禁止する。これは旅券法の運用でできると思うが、施行規則として明文化してはどうだろうか。

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