マルクスは20世紀の歴史に最大の影響を与えた思想家だが、それを理解している人はほとんどいない。あの観念的で難解な思想が、なぜ全世界の知識人と労働者を魅惑し、100年近くにわたって世界史を動かしたのかは今も謎である。本書は1978年にポーランド語で書かれた古典だが、初めて邦訳が出た。
著者の答は、マルクスの思想とマルクス主義の運動は別のものだったということだ。マルクスの思想は高度なものだが、彼がそれを『資本論』のように学問的な形で書いただけなら、今ごろはヘーゲル左派の一人として歴史に残る程度だろう。
ところが彼はその思想を単純化して『共産党宣言』などのパンフレットを出し、その運動が成功することで彼の理論の科学性が証明されると主張した。このように独特な形で「科学的社会主義」の理論と実践を結びつけたことが成功の一つの原因だが、その運動の実態は理論とはおよそかけ離れたものだった。
続きは11月18日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
著者の答は、マルクスの思想とマルクス主義の運動は別のものだったということだ。マルクスの思想は高度なものだが、彼がそれを『資本論』のように学問的な形で書いただけなら、今ごろはヘーゲル左派の一人として歴史に残る程度だろう。
ところが彼はその思想を単純化して『共産党宣言』などのパンフレットを出し、その運動が成功することで彼の理論の科学性が証明されると主張した。このように独特な形で「科学的社会主義」の理論と実践を結びつけたことが成功の一つの原因だが、その運動の実態は理論とはおよそかけ離れたものだった。
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