今週の金曜から、アゴラ経済塾「合理的に考える」がスタートする(申し込みは木曜まで受付中)。合理的な思考力は字を読む能力と同じく、遺伝的にすべての人がそなえている能力ではない。それはコストのかかる「遅い思考」なので、普通の人は近道して「速い思考」で判断する。

人間の脳に特有の機能は、人間関係をアレンジすることだ。特に「空気」を読んで他人の気持ちを忖度することが重要だ。それは特殊日本的な文化ではなく、最近の人類学では、意図の共有は遺伝的な機能と考えられている。命令されなくても「共同主観的」な信仰で協力して戦うことによって、人類は繁殖した。

協力を効率的に行うためにできたのが言語を使った論理だが、その本質は同じ文法を繰り返し適用する再帰的な構造である。それを高度化したのが数学的証明やコンピュータのコーディングだが、これは多くの人が苦手だ。忖度は遺伝的な能力だが、論理的な「遅い思考」は自然には身につかないのでトレーニングが必要だ。それが今回の経済塾の目的である。

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