きのうのアゴラ政経塾は、伊藤隆さん(東大名誉教授)をお迎えして「ファシズム」の話をうかがったが、おもしろかったのは「戦争に積極的だったのはルーズベルトのほうだった」という話だ。何も決められなかった東條英機が日米開戦を決めたのは、あらゆる手段でルーズベルトに追い込まれたからだという。

1930年代の大恐慌に対して、ルーズベルトは大統領の権限を拡大して財政支出を拡大し、ドイツでもヒトラーが国債を発行して経済を回復させた。蝋山政道は、このように行政に大きな裁量権を与える「挙国一致」が世界の潮流だと考え、政党を超える立憲的独裁が必要だと内閣に提言した。これが国債発行による軍備拡大や、大政翼賛会による政党政治の終焉への道を開いた。

つまり第2次大戦をもたらしたのは日独のファシストと英米のデモクラシーの対立ではなく、議会を超えて行政の裁量を拡大するデモクラシーなき立憲主義だった、という解釈も成り立つ。これは「立憲主義なきデモクラシー」としてのポピュリズムの逆で、現代的にいえば行政国家だ。それをどうコントロールするかは、今も大きな課題である。

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