遠藤周作の『沈黙』を原作とする映画が、日本でも公開された。原作は日本的なので英米で映画になるとは思えなかったが、スコセッシ監督は「28年前に原作を読んだときから映画化したかった」という。私は映画を見ていない(見る気もない)ので、これは原作の感想である。

小説も映画もフィクションだから、その「正しさ」を論じてもしかたないが、原作はキリスト教というより、山本七平のいう「日本教」の典型である。タイトルの意味は「主よ、あなたはなぜ黙ったままなのですか」という訴えだが、キリスト教の神は超越的存在なので、信徒に語りかけてくることはありえない。ところが原作では、神は現世的な「弱い者の味方」として描かれる。

ただスコセッシはイタリア系だから、日本のキリシタンと似ている部分もある。それはキリスト教というより「神仏習合」した土着信仰だったのだ(以下はネタバレ)。

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