戦中と戦後の間―1936―1957
本書は丸山眞男の初期の論文の「落ち穂拾い」である。私の学生時代には彼は「終わった思想家」だと思われていたので、本書を買った1977年にもほとんど読まなかったが、なんとなく気になって20回近い引っ越しにも生き残った。最近、仕事の都合でちゃんと読んで、私の丸山についてのイメージはちょっと間違っていたことに気づいた。

私が彼に興味をもったのは、1972年の「古層」論文を(のちに)読んだことがきっかけで、60年安保のヒーローだった時代の論文には興味がなかったが、初期の論文には彼の「原型」がみられる。それは50年代の朝日新聞的なきれいごとではなく、彼のナショナリストとしての側面だ。

戦時中に書かれた『日本政治思想史研究』でも、「国民主義」が大きなテーマだった。それは世間的には「全面講和」や「安保反対」のインターナショナリズムに埋もれてゆくが、のちに彼が福沢諭吉に事寄せて語っているように、丸山の一貫した思想だった。

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