経営者にとって意思決定の合理性は必要だが、十分ではない。意思決定の前提にバイアスがあると、いくら合理的に決めても間違った答が出る。10月7日からのアゴラ経済塾「日本的意思決定のバイアス」では、日本人に特有の間違え方の法則を分析する。
そのバイアスが鮮明に観察できるのは、日本軍である。一般的には「勝てるはずのない無謀な戦争に突っ込んで負けたバカな軍隊」と思われているが、実際の陸海軍はそれなりに合理的だった。太平洋戦争が「目的のない戦争」とか「終戦のあてのない戦争」といわれるのも正確ではない。
本書で分析している「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」は1941年11月に泥縄で書かれた戦争終結の計画だが、当時の日本軍のコンセンサスを文書化したものだ。その基本方針は「独伊と連携して先づ英の屈服を図り米の継戦意思を喪失せしむる」ことだった。
長期戦になったら補給が足りなくなることは陸海軍ともにわかっていたから、敵を短期決戦で戦意喪失させることが目的だった。当時はまだドイツがヨーロッパ戦線で破竹の快進撃を続けており、アメリカの戦力はまだ構築途上だったので、早めにたたかないと勝機がない(開戦が遅れたら勝てない)という判断はそれなりに合理的だったのだ。
続きは10月3日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
そのバイアスが鮮明に観察できるのは、日本軍である。一般的には「勝てるはずのない無謀な戦争に突っ込んで負けたバカな軍隊」と思われているが、実際の陸海軍はそれなりに合理的だった。太平洋戦争が「目的のない戦争」とか「終戦のあてのない戦争」といわれるのも正確ではない。
本書で分析している「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」は1941年11月に泥縄で書かれた戦争終結の計画だが、当時の日本軍のコンセンサスを文書化したものだ。その基本方針は「独伊と連携して先づ英の屈服を図り米の継戦意思を喪失せしむる」ことだった。
長期戦になったら補給が足りなくなることは陸海軍ともにわかっていたから、敵を短期決戦で戦意喪失させることが目的だった。当時はまだドイツがヨーロッパ戦線で破竹の快進撃を続けており、アメリカの戦力はまだ構築途上だったので、早めにたたかないと勝機がない(開戦が遅れたら勝てない)という判断はそれなりに合理的だったのだ。
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