アメリカの大統領選挙は、ヒラリー・クリントンの圧倒的優勢だったが、ここに来て情勢が変わってきた。WSJの報じた彼女の筆頭秘書ヒューマ・アベディンのEメールは、問題を一変させた。これまでは私用メールサーバで国家機密を漏洩したかどうかが問題で、FBIは「不注意だったが意図的ではない」として起訴を見送った。

しかし私用サーバをわけたのは不注意ではなく、国務省と財団の利益相反を隠すためだった。FBIは今週にも新たに見つかったメールを公表するといわれるが、WSJの報道が事実だとすると重大だ。Economistも書いているように、バーレーンなどの献金者にクリントン国務長官が優先的に面会した記録が残っている。その献金は1口100万ドルで総額1億5600万ドルにものぼり、アベディンのメールで献金と面会の関係が明確になった。

つまりこれは財団を通じた国務長官への迂回献金だった疑いが強い。今のところ収賄の容疑は出ていないが、100万ドルでランチだけということは考えにくい。トランプが彼女を攻撃する材料としては強力だ。もしヒラリーが大統領になってから証拠が出てきたら、議会に弾劾される可能性もある。

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