誤解だらけの遺伝子組み換え作物
遺伝子組み換え(GMO)は、世界のエコロジストが原発なみに好むテーマだ。去年は48ヶ国で統一デモが行なわれたが、日本ではあまり盛り上がらない。遺伝子組み換え作物が、国内でまったく栽培されていないからだ。

それは農水省が禁止しているからではない。GMO作物は安全審査に合格し、輸入されるトウモロコシの7割、ダイズやナタネの9割がGMO作物だ。あなたはもうすでにGMO作物(あるいはそれを食べた動物の肉)を食べているのだ。

GMOの安全性については、科学的な論争はない。世界の査読つき学術誌に掲載された論文で、GMOの毒性を実証したものはない。アメリカのFDA(食品医薬品局)もEU委員会も、GMO作物の毒性は他の作物に比べて高くないという結論を出した。GMOは農薬を減らすための品種改良の技術であり、特別扱いする理由はない。

それなのに日本で栽培する農家がないのは、農協がGMOを実質的に締め出しているからだ。たとえばある農家がGMOを使おうとすると、「まわりの農家の同意が必要だ」という。市町村も「**町の農作物が全部GMOだと思われると困る」などと「指導」するため、農水省が認可しても使えないのだ。

これはTPPで日本の農業が自由化される時代に、生産性を高める障害になっている。また農業の後継者が減る中で、大量に農薬を散布する農業は効率が悪く、健康にもよくない。アゴラ研究所では、本書の編者である小島正美氏などとともに、シンポジウム「遺伝子組み換え作物は危険なのか?」を2月29日に開催する。

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