日銀のマイナス金利は、サプライズ効果は十分だった。何しろ18日の参議院予算委員会で、黒田総裁が「付利金利の引き下げは検討していない」と答弁したばかりだからだ。マイナス金利はECBなどヨーロッパですでに導入され、大した効果は上がっていない。すでに実質金利はマイナスになっているので意味はない、というのが世界の常識だ。

インフレ目標も「2017年度前半」と当初の目標から2年以上ずらしたが、実現する見通しはない。原油価格が1バレル20ドル台と暴落し、日銀よりはるかに大きなインパクトを物価に及ぼしているからだ。コアCPIはゼロ近辺まで下がり、10~12月期の実質成長率もマイナスと予想されている。

アベノミクスも今やボロボロで、かつての戦争でいえば1945年2月の硫黄島ぐらいだろう。しかし黒田総裁が「インフレ目標はやめた」などと言ったら、ただでさえ甘利氏の更迭で動揺している政権に大打撃になる。日本軍が決して「撤退」という言葉を使わず「転進」といい続けたように、彼も強気の発言を続けるだろうが、このまま「本土決戦」になると、さらに大きな危険をまねくおそれが強い。

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