「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用 (岩波現代文庫)
Paul Romerが、最近のマクロ経済学の論文は数学的な飾りばかり多くて中味がないと"mathiness"を批判した問題をEconomistが取り上げている。こういう批判は昔から珍しくもないが、彼がPrescottやLucasを名指しで批判し、特にLucasの論文の証明に致命的な誤りがあると指摘した(彼も認めた)ことが話題を呼んだ。

要するに経済学も社会学と似たようなもので、結論は最初からイデオロギーで決まっていて、それを正当化するために数式やデータを使ってごまかしているのだ。その誤りにもっとも権威ある学会誌JPEのレフェリーが気づかなかったのだから、STAP細胞を笑えない。

社会学の場合は素人が難解なジャーゴンで飾るので、物理学者がいたずらでポストモダンっぽい言葉をでたらめに並べた偽論文を「カルチュラル・スタディーズ」の専門誌に投稿したら掲載されてしまった、というのが本書の発端になった有名な「ソーカル事件」だが、経済学もカルスタに近づいているのかもしれない。

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