「クローズアップ現代」が、この3月で終わるそうだ。私は1993年にこの番組を始めたときのスタッフだが、3年続いたら立派なものだと思っていた。「よく23年も続いたな」というのが正直な感想だ。ご苦労様。
NHKのドキュメンタリーは「日本の素顔」や「新日本紀行」以来の伝統があり、毎週30分の番組をつくるのが報道番組PDのあこがれだった。しかし世の中の動きが激しくなって、30分の物語を構成することは困難になり、いったん打ち切って「土曜リポート」という短い番組になった。
ところが他のセクションの似たような番組と競合するので、報道と教養と科学で週4本(あと1本はローカル)やろうという寄り合い所帯で始まったのが「クロ現」だった。しかし週1本でもしんどいのに、週4本もネタがあるわけない。おかげで出家詐欺みたいなしょぼい話を30分もたせる「やらせ」騒動も起こった。
もうドキュメンタリーの時代じゃない。家族がテレビの前に集まって同じ物語に感動する時代は、とっくに終わったのだ。私はクロ現もNスペも1年以上見たことがないが、不自由を感じない。第一報から1次情報まで、すべてネットで見られるのに、それに絵をつけて万人向きに薄めた番組を見るのは時間の無駄だ。
限られたメディアをみんなが一緒に見る、同期型コミュニケーションの時代は終わった。テレビも電話も、インフラが稀少だった時代の遺物にすぎない。今はメディアが過剰で人間の時間が稀少なので、電話がEメールになったように、テレビもYouTubeに代替されるだろう。人間の都合にあわせてメディアを選ぶ、非同期コミュニケーションの時代になったのだ。
続きは1月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
NHKのドキュメンタリーは「日本の素顔」や「新日本紀行」以来の伝統があり、毎週30分の番組をつくるのが報道番組PDのあこがれだった。しかし世の中の動きが激しくなって、30分の物語を構成することは困難になり、いったん打ち切って「土曜リポート」という短い番組になった。
ところが他のセクションの似たような番組と競合するので、報道と教養と科学で週4本(あと1本はローカル)やろうという寄り合い所帯で始まったのが「クロ現」だった。しかし週1本でもしんどいのに、週4本もネタがあるわけない。おかげで出家詐欺みたいなしょぼい話を30分もたせる「やらせ」騒動も起こった。
もうドキュメンタリーの時代じゃない。家族がテレビの前に集まって同じ物語に感動する時代は、とっくに終わったのだ。私はクロ現もNスペも1年以上見たことがないが、不自由を感じない。第一報から1次情報まで、すべてネットで見られるのに、それに絵をつけて万人向きに薄めた番組を見るのは時間の無駄だ。
限られたメディアをみんなが一緒に見る、同期型コミュニケーションの時代は終わった。テレビも電話も、インフラが稀少だった時代の遺物にすぎない。今はメディアが過剰で人間の時間が稀少なので、電話がEメールになったように、テレビもYouTubeに代替されるだろう。人間の都合にあわせてメディアを選ぶ、非同期コミュニケーションの時代になったのだ。
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