Vlogでも言ったように、夫婦同姓が「日本古来の伝統」だとか、別姓が「家族の一体性を破壊する」という自称「保守派」の主張はナンセンスだ。彼らが回帰しようとしているのは日本の伝統ではなく、旧民法の「家」制度である。これは「家長」である長男がすべての財産を相続する、明治政府のつくった新しい制度だ。

他方、リベラル派は夫婦同姓を「女性の権利の軽視」だと批判しているが、これも問題を取り違えている。中国や韓国で夫婦別姓なのは女性の権利を尊重しているからではなく、女性を親族集団のメンバーとみなしていないからだ。

産経新聞などは夫婦同姓を「家族の一体性」と結びつけ、夫婦別姓にすると「ホームがなくなって単なるハウスになる」というが、これも歴史への無知である。日本語の「いへ」の語源は「いほ」(庵)と同根と考えられ、単なる「すみか」の意であり、「家族」とか「家柄」という意味は中世以降に派生したものだ。日本の家は、もともとハウス(機能集団)なのだ。

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