きのうの記事でも書いたように、日本の「国のかたち」の最大の欠陥は、各省庁の自律性が強く内閣の求心力が弱いタコツボ構造にある。これは「言論アリーナ」で片山杜秀さんがいったように、明治時代から受け継がれている。日米戦争に突っ込んだ最大の原因も、統帥権が独立していて内閣が軍をコントロールできなかったためだ。

この奇妙な構造の一つの原因は、明治憲法から内閣を削除した制度設計の失敗だった。美濃部達吉はこの欠陥に気づき、天皇機関説で内閣に実権を与える解釈改憲で是正しようとしたが、右翼に攻撃されて挫折した。大政翼賛会は「強い内閣」をつくる試みだったが、近衛文麿は「天皇の大権をおかすヒトラーだ」と攻撃されて内閣を投げ出した。

タコツボ構造は議院内閣制になった戦後も変わらなかったので、これを政治主導にしようという試みは何度もあった。90年代に小沢一郎氏は「副大臣」の創設を提唱し、橋本内閣では「内閣府」をつくって官邸機能を強化しようとしたが、寄り合い所帯で機能しなかった。民主党政権の「政治主導」は笑い話に終わった。

100年以上も直そうとしても直らないゆがみの原因は単なる制度設計ではなく、丸山眞男が「日本型デモクラシー」と呼んだ日本人の深層心理にあると思われる。8月8~9日に行なうアゴラ特別セミナーでは、片山さんにこの話を聞く予定だ(くわしいプログラムは、のちほどお知らせします)。

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