日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか
今年は戦後70年ということで、あやかり本がたくさん出ているが、本書は『戦後日本史論』と同じ劣化左翼のステレオタイプだ。私は今さら侵略とか謝罪とか論じるのは無意味だと思うが、こういうトンデモ本がいまだに出るのをみると、やはり歴史を正しく理解することは重要だと痛感する。

孫崎享氏は日本の大手メディアには相手にされない(NHKに出演できないのは政府の陰謀だという)が、外国特派員協会では人気者で、何回も出ている。私が酷評した『戦後史の正体』が当たったので、今度は「戦前史の正体」を書いたわけだ。彼のような「他民族中心主義」が白人の偏見を裏書きしていることも見逃せない。

前の本がおもしろかったのは、彼が外務省で当事者として得た一次情報が書かれていたからだが、本書はすべて孫引きだ。内容も昔ながらの「悪い軍部が暴走した」という話の変種で、「軍部の中でも反対が多かった」という周知の事実をさも新発見のように書き、安倍首相を東條英機のような危険人物として批判している。そして石橋湛山や清沢洌のような正義の味方は、もちろん著者である。

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