大阪都構想の住民投票は、税金を払う世代と使う世代の対立を鮮明に示した。Vlogでも紹介したように、大阪市の有権者のメディアンは55歳ぐらいだが、それ以上の世代の投票率が高いため、中位投票者(median voter)が60歳を超えたと思われる。この原因は、負担が重くなる若い世代の投票率が低く、20歳未満には選挙権がないからだ(18歳に引き下げる程度では大差ない)。
このバイアスを是正する一つの方法は、ゼロ歳児にも選挙権を与えることだ。もちろんゼロ歳児は投票できないので、20歳未満の子供をもつ親に2票を与える。これがドメイン投票法と呼ばれるもので、小黒さんによればこれで高齢者の比率は1割ぐらい下がる。

もう一つは世代別選挙区だ。これは一つの選挙区を「老年区」「中年区」「若年区」にわけて人口に比例した定数を配分し、投票率の差をなくすものだ。20歳未満の「子供区」を設け、この分の選挙権を親が行使してもよい。

この他にもいろいろな案があるが、私は老人と若者の「1票の格差」を是正するというわかりやすさから、世代別選挙区がいいと思う。子供区を設ければ、ドメイン投票もかねることができる。都市と地方の定数是正には訴訟を起こしたりする熱心な人がいるので、ぜひ世代別の定数是正にも取り組んでほしい。