NYTのファクラー東京支局長は、古賀茂明氏が報道ステーションから降ろされたことを「安倍政権の圧力だ」と報じているが、その根拠を何一つ示していない。彼は安倍政権が朝日グループを攻撃していると書いているが、これは逆である。一連の騒ぎの発端は、昨年8月に朝日新聞が慰安婦問題についての大誤報を「自白」したことに始まるのだ。
朝日新聞は第1次安倍政権を敵視し、若宮主筆は「安倍を攻撃することが朝日の社論だ」とのべた。しかし第2次安倍政権は慰安婦問題を調査する方針を表明し、これについて木村伊量元社長は脅威を覚え、事実を調査した(これは同社の第三者委員会の報告書に書かれている)。木村氏が安倍氏と会談して「慰安婦問題に決着をつける」と約束したことが、朝日新聞の社内では知られている。

つまり朝日グループが安倍政権に接近したことは事実だが、これはむしろ木村氏(および彼の同僚だった吉田慎一テレ朝社長)の政権との関係修復工作に起因しているのだ。彼らは報道に圧力をかけたのではなく、逆に今まで否定していた誤報を認め、偏見にもとづく「反安倍キャンペーン」を自粛したのである。

これをNYTが歪曲して報道する動機も理解できる。朝日新聞東京本社の社屋に支局を置く彼らは、朝日に追随して慰安婦問題について虚偽の報道を繰り返してきた。朝日の誤報を認めることは自社の責任問題にも発展するので、NYTは一貫してこれを「右派の安倍政権による朝日攻撃」と報じてきた。

しかし残念ながら、ファクラー記者の憶測を裏づける事実は、この記事には一つもあがっていない。出ているのは2人のコメンテーターの感想だけで、そのうち1人(上杉隆)は、テレビ番組で嘘をついて私の名誉を毀損し、裁判所に賠償を命じられた人物だ。ファクラーも、上杉と同じ病的な嘘つきであることを間接的に告白したのだろうか。