安倍首相の記者会見は、マクロ経済的にも財政的にもめちゃくちゃだ。
消費税を引き上げることによって景気が腰折れしてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないというとことになっては元も子もありません。何度も書いたように、そんなことはありえない。消費税率を上げて消費税収は増えた。全体の税収が減ったのは、所得減税をしたためだ。
政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上、給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく。そして景気が回復していくという、経済の好循環がまさに生まれようとしています。彼はどういう雇用が増えたか、知っているだろうか。増えた100万人の半分以上は、建設業である。つまり公共事業(特に震災復興)で地方の低賃金労働者が増えたのだ。安倍政権で増えたGDPは、ほとんどすべて「第2の矢」で説明できる。
「平均2%以上、給料がアップしました」というのは名目賃金だが、この間に物価が上がったので、実質賃金は-1.7%だ。「デフレ脱却」のおかげで、労働者は貧しくなったのだ。したがって彼のいう通り、消費が縮小した。どこに「好循環」があるのか。
"再び延期することはない"、ここで皆さんにはっきりと、そう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては景気判断条項を付すこと無く、確実に実施いたします。私はそう決意しています。こんな約束には、何の意味もない。今回の増税先送りも、景気判断条項があるが、法改正が必要だ。そういうハードルを制度的に設けたのに、それを踏み超えてやる自民党が、もう一度先送りしない保証はどこにもない。リーマンショックのような大事件があったわけでもないのに、GDP統計を理由にして増税を先送りするようでは、もう日本の財政に対する信認はなくなる。
「代表なくして課税なし」、アメリカ独立戦争の大義です。国民生活に大きな影響を与える税制において重大な決断をした以上、また、私たちが進めている経済政策も賛否両論あります。そして抵抗もあるその成長戦略を国民の皆さまと進めていくためには、どうしても国民の皆さまの声を聞かなければならないと判断いたしました。増税先送りで負担が増えるのは将来世代だが、彼らは国会に代表を送り込んでいない。特に今のゼロ歳児は、安倍首相の世代に比べて生涯所得で1億円の負担増になる。これをゼロにすることは不可能だが、せめて減らそうとするのが、現世代の責任ではないか。それを浜田内閣官房参与は「実現可能なネズミ講だ」と公言している。
18ヶ月間の延期、さらには29年4月には景気条項をはずして確実に上げる。これは重大な変更です。そうした変更については、国民の信を問う。当然ことであり、私は民主主義の王道といってもいいと思います。「国民の信を問う」ことに意味があるのは、増税を先送りする党としない党が競う場合だ。今回は先送りに反対する党がないのに、何を問うのか。しかも先送りは景気条項で認められている。憲法解釈を変更する(大きく賛否のわかれた)集団的自衛権で解散しなかった首相がこんな話をしても、誰も信じない。
それより正直に「来年はもっと景気が悪くなるから、単独過半数の票がぎりぎり読める今やるんです。野党もバラバラで民主も海江田代表だから、今がラストチャンスなんです」といえば、国民も納得しただろう。