朝まで生テレビに、数少ない当事者として出てくるのが朝日新聞元編集委員の早野透氏だ。彼は2007年3月28日の「ニッポン人脈記」というコラムで、こう書いている。
1月末、米下院に「慰安婦決議案」が出されて以来、中央大教授吉見義明のもとに欧米メディアがたびたび質問に来る。「シンゾー・アベは拉致問題には熱心だが、従軍慰安婦に対する態度と矛盾するのでは?」

「従軍慰安婦」研究者の吉見も、このふたつの問題に共通性を見いだしている。拉致被害者も、「いい仕事がある」などと「甘言」にだまされ、連れ去られた例がある。朝鮮人の少女が業者から「赤いワンピースと革靴」を見せられ、「いい暮らしができるよ」と戦地の軍慰安所に送られたのもまた、「甘言」による「拉致」ではないか。
このコラムを夕刊で読んだときは驚いた。なぜなら朝日新聞は1997年に「強制連行」を放棄し、「従軍慰安婦」という言葉もやめたからだ。吉見氏が「従軍慰安婦は北朝鮮の拉致と同じ強制連行だ」と主張するのはわかるが、2007年の段階でそんな嘘を真に受けたのは、NYTのオオニシ記者と早野氏だけだ。

北朝鮮の拉致は、国家犯罪である。早野氏が「拉致と同じだ」ということは、日本政府あるいは軍が慰安婦を国家として拉致したという意味か。朝日新聞が今回認めたように、強制連行の事実はない。彼はテレビ朝日のスタジオで、7年前の誤った記事を撤回し、謝罪すべきだ。朝日新聞社も、この記事を撤回する社告を出す必要がある。