きのう神楽坂のレストランで食事していたら、隣のテーブルで「北畠さん」とか「清田さん」という言葉が出てくるので驚いた。サラリーマン3人組で、1人はOBだった。彼らの印象では、慰安婦問題の火元は清田治史記者だが、そのあと大阪本社で慰安婦キャンペーンをやった主役は、北畠清泰記者だったらしい。
彼らの話のほとんどは「**さんが泥をかぶる」とか「**さんは逃げた」という固有名詞ばかりで、中身はほとんどわからなかったが、帰り際に印象的な光景があった。領収書の宛名に「**社」と言ったOBの言葉を店員が聞き違えたとき、「そうじゃない」とバカにしたことだ。なるほど朝日新聞の下請けは一流企業だから、他の出版社とまちがえるなというわけだ。
このOBの世代では、朝日の入社試験は国家公務員の上級職より難関で、官庁の内定を蹴って入社する社員も珍しくなかった。そのエリート意識がまだ残っているのだろうが、最近の状況をみると朝日の劣化は進行しているようだ。まともな日本語能力もない西尾邦明記者の誤報騒動をみて、それを痛感した。経産省の担当といえば経済部ではエリートだが、それがこの程度では、あとは推して知るべしだ。
日本社会のコアは法の支配でも民主政治でもなく、「賢い人が正しく決める」という徳治主義であり、その根拠は法的な権力ではなく精神的な権威だ。ヨーロッパでは両者が俗権と教権として分離されているのに対して、アジアでは「忠誠」の倫理で結びついている。科挙は権力をもつ士大夫に知的な権威をもたせる制度で、それを近代法と組み合わせた日本型官僚制が近代化の最大のエンジンだった。
官僚の権力を支えているのは法律ではなく「公平な試験で選ばれた秀才」という知的権威であり、これは日本人が考えているほど当たり前ではない。ピケティは「欧米の一流大学は身分格差を再生産する腐敗した制度だ」と批判している。有力な政治家や金持ちの子供は、寄付さえすればハーバードやスタンフォードに入れる。残りの枠に世界中から秀才が集まるので、トップの学生のレベルが高いだけだ。
日本の国立大学と公務員試験は非裁量的に選抜するので、これが彼らの知的権威の源泉だ。それに対抗するには政治家のような堕落したエリートではだめで、同じぐらい偏差値の高いマスコミの監視が必要だ。この点で朝日新聞は、精神的権威をもつが物質的権力をもたない聖職者のような役割を果たしていたともいえる。彼らはキリスト教的な絶対平和主義をとなえ、慰安婦のような弱者の立場で政府を追及する。
それはそれで一つの役割だったのだが、マスコミが斜陽産業になって就職偏差値が下がると、その知的権威も失われる。これから慰安婦報道や吉田調書のような事件はもっと頻発するだろう。今回は朝日新聞だから社会問題になったが、地方紙の質の低下は著しい。ネットがそれに代わるメディアになるかどうかもわからない。
すでに官僚の権威も落ちているが、それをチェックする新聞の権威も落ちると、日本はますます中心のない社会になる。もちろん朝日のような左翼ポピュリストが没落するのはいいことなのだが、それは日本社会のさらなる漂流の前兆かも知れない。
このOBの世代では、朝日の入社試験は国家公務員の上級職より難関で、官庁の内定を蹴って入社する社員も珍しくなかった。そのエリート意識がまだ残っているのだろうが、最近の状況をみると朝日の劣化は進行しているようだ。まともな日本語能力もない西尾邦明記者の誤報騒動をみて、それを痛感した。経産省の担当といえば経済部ではエリートだが、それがこの程度では、あとは推して知るべしだ。
日本社会のコアは法の支配でも民主政治でもなく、「賢い人が正しく決める」という徳治主義であり、その根拠は法的な権力ではなく精神的な権威だ。ヨーロッパでは両者が俗権と教権として分離されているのに対して、アジアでは「忠誠」の倫理で結びついている。科挙は権力をもつ士大夫に知的な権威をもたせる制度で、それを近代法と組み合わせた日本型官僚制が近代化の最大のエンジンだった。
官僚の権力を支えているのは法律ではなく「公平な試験で選ばれた秀才」という知的権威であり、これは日本人が考えているほど当たり前ではない。ピケティは「欧米の一流大学は身分格差を再生産する腐敗した制度だ」と批判している。有力な政治家や金持ちの子供は、寄付さえすればハーバードやスタンフォードに入れる。残りの枠に世界中から秀才が集まるので、トップの学生のレベルが高いだけだ。
日本の国立大学と公務員試験は非裁量的に選抜するので、これが彼らの知的権威の源泉だ。それに対抗するには政治家のような堕落したエリートではだめで、同じぐらい偏差値の高いマスコミの監視が必要だ。この点で朝日新聞は、精神的権威をもつが物質的権力をもたない聖職者のような役割を果たしていたともいえる。彼らはキリスト教的な絶対平和主義をとなえ、慰安婦のような弱者の立場で政府を追及する。
それはそれで一つの役割だったのだが、マスコミが斜陽産業になって就職偏差値が下がると、その知的権威も失われる。これから慰安婦報道や吉田調書のような事件はもっと頻発するだろう。今回は朝日新聞だから社会問題になったが、地方紙の質の低下は著しい。ネットがそれに代わるメディアになるかどうかもわからない。
すでに官僚の権威も落ちているが、それをチェックする新聞の権威も落ちると、日本はますます中心のない社会になる。もちろん朝日のような左翼ポピュリストが没落するのはいいことなのだが、それは日本社会のさらなる漂流の前兆かも知れない。


