毎日新聞は中部電力浜岡原発の安全審査申請について、社説で「再稼働より廃炉検討を」と主張している。原子力規制委員会が安全と認めても、政府は動かさないで廃炉にしろというのだ。そこにちょっとおもしろい指摘がある。
現状では、廃炉の判断は営利企業である電力会社に任されている。政府主導で廃炉を促す制度づくりが必要で、国民の負担についても議論が要るだろう。浜岡原発の廃炉はそのモデルとなり得る。
現在の原発は法的に設置許可を得ているので、それを政府が一方的に廃炉にすることは財産権の侵害だが、公共の利益が電力会社の損害より大きいときは、原子炉等規制法に定める「許可の取消」が可能だ。毀損される電力会社の資産を国家賠償すれば、政府が廃炉にできる。ドイツでは、バックフィットを行なう場合には国家賠償している。

その場合の「国民の負担」はどれぐらいだろうか。中部電力は昨年だけで3000億円の特別損失が出ているので、原発の償却期間の平均を控えめにみて10年として、金利5%で割り引くと1兆8500億円。これを賠償すればよい。「安心」などの利益がこれより大きいかどうかを判断するのは国会である。

したがって「即時廃炉法」というような特別法を国会で可決し、1兆8500億円を中部電力に対して国家賠償すれば、浜岡原発を廃炉にできる。全国の原発を廃炉にするには、20兆円もあればいいだろう。このように民主的な手続きを踏んで廃炉にするなら、私は賛成である。