<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性株式市場と外為市場が激動しています。日本人の生活がバーナンキFRB議長の発言で動き、ケイマン諸島のヘッジファンドの投機的な活動が日本の企業にも大きな影響を与える時代になりました。

1848年にマルクス=エンゲルスが『共産党宣言』で「ブルジョア階級は、世界市場の開拓を通して、あらゆる国々の生産と消費を国籍を超えたものとした。それはすべての生産関係を絶えず革命することなくしては存続しえない」と予言した資本主義の暴力性が、いよいよ姿を現してきたのかもしれません。

19世紀には、世界各国で10年ごとに恐慌が起こって労働者がインターナショナルを結成しました。資本主義がある限りその「無政府性」は避けられないので、万国の労働者が連帯して未来社会を建設する、という理想が社会主義革命を生みました。しかしそれは悲惨な逆ユートピアになり、他方でケインズ的な総需要管理政策で恐慌はなくなり、資本主義が勝利を収めたようにみえました。

しかし80年代の日本のバブルをはじめ、90年代の東南アジア危機、ITバブル、2000年代のリーマンショック、その後のユーロ危機など、まるでマルクスの時代に戻ったかのように定期的に危機が発生しています。かつて主権国家のマクロ政策で管理されていた資本が本当に国境を超えて自由に動くとき、その巨大な力は世界経済を破壊するのでしょうか。

他方、新興国の参入によって単純労働の賃金は低下し、国際的には「大収斂」が起きていますが、先進国では所得格差が拡大しています。「デフレ」と呼ばれる現象は、その始まりにすぎない。これに対する「反グローバリズム」には未来がないとしても、資本主義の暴力をコントロールする方法はあるのでしょうか。

7月からのアゴラ読書塾では、『共産党宣言』を初めとする古典からポストモダンまでの資本主義論を読み、その内容を解説するとともに、そのもたらす可能性とリスクを、受講生のみなさんとの討論を通して考えます。

セミナーはすべてUstreamで動画中継し、録画してアーカイブで見られますので、全国の(あるいは海外の)みなさんもいつでも視聴できます(質問もFacebookでできます)。毎週メールマガジン(無料で購読)で基礎知識を解説します。

講師:池田信夫(株式会社アゴラ研究所 所長)

テーマ(予定)
  • マルクス恐慌論の見すえていた「資本主義の不安」
  • レーニンの帝国主義論とヒルファーディングの金融資本論
  • ケインズは資本主義を救ったのか
  • 資本主義という非対称なシステム(ブローデル
  • 「新自由主義」がグローバル化を進めた(フリードマン)
  • 近代世界システムは終わったのか(ウォーラーステイン
  • つねに「脱コード化」する資本主義(ドゥルーズ=ガタリ)
  • 「幽霊」としての資本主義(デリダ
  • 主権国家から<帝国>へ(ネグリ=ハート)
  • グローバリゼーションのもたらす格差世界(スティグリッツ)
  • スミス的発展とマルクス的発展(アリギ
  • 金融資本主義の落とし穴(タレブ)・・・など
12回ではとても読み切れないので、10月以降に第2部をやる予定です。

開催日:2013年7月5日から毎週金曜日・全12回
 7月5日・12日・19日・26日
 8月2日・9日・23日・30日
 9月6日・13日・20日・27日
時間:18:30~20:30

場所RainbowApps代々木校
 東京都渋谷区代々木1-38-7 川本ビル3階(山手線代々木駅より1分)
定員:30名(先着順で締め切ります)。Ustreamによる視聴は無制限です。

受講料(PayPalも利用できます)
 12回:6万円(欠席の場合も動画をお送りします)
 継続受講者:5万円(過去に読書塾・経済塾を受講された方)
 学生・Ustream:3万円
 10月以降の第2部と合わせて24回:9万円(学生・Ustream4万5000円)

お申し込み方法
専用フォームに必要事項をご記入いただき、フォーム記載の弊社口座へのご入金をもって手続き完了です。受付は開講当日まで承ります。

主催:株式会社アゴラ研究所