上杉隆の私とアゴラ研究所とNHNに対する訴訟の第1回口頭弁論が、きょう東京地裁で開かれた。こちらは6人の大弁護団だが、上杉側は老弁護士1人で原告も出てこない。証拠もそろってなくて、裁判長からいろいろ不備を指摘されていた。

私も名誉毀損訴訟は何度か見たが、普通は原告側が名誉回復のために力を入れるもので、こんなやる気のない原告は初めて見た。要するに「係争中なのでノーコメント」と言って自由報道協会の内紛を乗り切るためのアリバイづくりの訴訟なのだろう。

くわしいことは今週のメルマガに書いたが、上杉の訴状は自己矛盾を起こしている。特に奇妙なのは、読売新聞のリストと出口晴三が上杉に送ったリストが同一だと認めていることだ。これが弁明として成り立つのは、出口のリストが読売より前につくられたときに限られる。上杉も【より重要なお知らせ】で「同じリスト(同型)を上杉は少なくとも発売前までに情報提供者より入手した」と書いた。

私が上杉隆氏のいう「情報提供者」は存在しない」と書いたのは、この「読売より前に情報を作成した提供者」という意味である。読売の記事が出たあとなら、同じリストは読売の読者なら誰でも入手でき、「情報提供」どころか盗用の証拠にしかならない。そして読売の時刻は2011年3月19日の8時17分、出口は11時5分である。

したがって出口が読売の記事を盗用したことは明らかだが、訴状では「原告も出口も甲5の2[上杉wiki]の掲載まで読売の記事については知らなかった」と主張する。つまり読売の記事と出口のリストが同一なのは、偶然の一致だったというのだ。これについて被告側の答弁書はこう指摘している。
原告記事2のリストと読売記事の文言が一言一句全く同一であることに加えて、PC上で見た場合の全角スペースの配置まで全く同一である確率は天文学的な数値であり、およそあり得ないことからすれば、原告の当該自白により、少なくとも原告記事2のリストが読売記事を複製したものであることは客観的に見て真実であることは疑いようがない。
出口が自分で調べたリストが、読売が各国大使館や特派員の情報を総合してつくったリストと偶然に一致する確率は、宇宙の初めから今までかかってもありえないぐらい低い。あとは上杉側が、この「奇蹟の一致」がどうして起こったのか、立証するのを楽しみにしよう。