気候変動問題は、ある意味でフランス革命以来の啓蒙思想の極北である。それは世界を(人間には変えられない)神の秩序と考えたキリスト教に代わって、人間が神になって世界を改造する思想である。
啓蒙的な合理主義は、神話のように世界の意味を説明するのではなく、テクノロジーで自然を改造して支配する。そこで重要なのは自然の支配から逃れることではなく、それを人間が支配するための有用な知識であり、世界のどこでも有効な普遍性である。
それは大きな成功を収め、今や啓蒙的な西欧圏とそれ以外の差は歴然たるものだ。それよりはるかに古い歴史と伝統をもつ中国も、論文引用数でアメリカと争うようになった。そして現代を人間が地球を改造した「人新世」と呼び、ついには大気の組成を変えて地球の生態系を救おうとするドン・キホーテ的な活動家も出てきた。
アドルノとホルクハイマーがこれを見たら哄笑するだろう。人間がテクノロジーで自然を改造できるという啓蒙思想こそ、20世紀前半に悲惨な世界大戦をまねいた人間中心主義だからである。それはかつての大戦のように、人類に取り返しのつかない惨禍をもたらすだろう。
続きは9月2日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
啓蒙的な合理主義は、神話のように世界の意味を説明するのではなく、テクノロジーで自然を改造して支配する。そこで重要なのは自然の支配から逃れることではなく、それを人間が支配するための有用な知識であり、世界のどこでも有効な普遍性である。
それは大きな成功を収め、今や啓蒙的な西欧圏とそれ以外の差は歴然たるものだ。それよりはるかに古い歴史と伝統をもつ中国も、論文引用数でアメリカと争うようになった。そして現代を人間が地球を改造した「人新世」と呼び、ついには大気の組成を変えて地球の生態系を救おうとするドン・キホーテ的な活動家も出てきた。
アドルノとホルクハイマーがこれを見たら哄笑するだろう。人間がテクノロジーで自然を改造できるという啓蒙思想こそ、20世紀前半に悲惨な世界大戦をまねいた人間中心主義だからである。それはかつての大戦のように、人類に取り返しのつかない惨禍をもたらすだろう。
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