
問題は、その後である。どの原発訴訟でも論争は「炉心溶融が起こるか否か」に集中し、その結果については「数万人が放射線を浴びて死ぬ」という漠然たる予想しかなかった。国は詳細な被害想定を拒み、原告(住民)側はIAEAなどの放射線基準を適用して「1mSv以上の放射線を浴びると死ぬ」と想定していたからだ。
これは炉心溶融=メルトダウンと考えていたためだ。「メルトダウン」というのはウィンズケールのように原子炉が破壊される事故で、これは炉心が溶けると必然的に起こると考えられていたが、スリーマイル島事故では炉心の大部分が溶けたのに圧力容器は無事だった。これについて高木は「運がよかっただけ」と言っていたが、今回の事故では炉心がすべて溶けたのに圧力容器は破壊されなかった。
原子炉が破壊されたチェルノブイリ事故では「10万人以上が死ぬ」という予想もあったが、20年後にUNSCEARの行なった追跡調査では、慢性被曝による発癌性の増加はまったく観察されていない。福島では、IAEAの基準が正しいとしても致死量の被曝者は一人もいない。「原発は命の問題だからいくら金をかけてもいい」という山本太郎のような原発タレントは、この点を取り違えている。福島原発事故は命の問題ではなく、純然たる経済問題なのだ。
経済問題と考えると、農産物の年間出荷額が2400億円の福島県で5兆円もの賠償を東電が行なうのは、どう考えても過大であり、数兆円もかけて除染を行なうのは税金の浪費である。これは高木も久米も想定していなかった問題であり、当時かれらの部下だった小出裕章氏も費用対効果をまったく理解していない。
来月から除染が始まり、原発事故は巨額の財政負担として問題になる。除染の基準を年間1mSvに設定して「安全のために費用は惜しまない」といっていた細野原発担当相も、基準を20mSvに引き上げた。これを攻撃する反原発派は、20mSv以下で発癌率が上がる証拠を見せてほしい。それは高木以来の原発反対運動の見逃していた盲点なのだが、彼らはいまだにそれに気づいていない。
これは炉心溶融=メルトダウンと考えていたためだ。「メルトダウン」というのはウィンズケールのように原子炉が破壊される事故で、これは炉心が溶けると必然的に起こると考えられていたが、スリーマイル島事故では炉心の大部分が溶けたのに圧力容器は無事だった。これについて高木は「運がよかっただけ」と言っていたが、今回の事故では炉心がすべて溶けたのに圧力容器は破壊されなかった。
原子炉が破壊されたチェルノブイリ事故では「10万人以上が死ぬ」という予想もあったが、20年後にUNSCEARの行なった追跡調査では、慢性被曝による発癌性の増加はまったく観察されていない。福島では、IAEAの基準が正しいとしても致死量の被曝者は一人もいない。「原発は命の問題だからいくら金をかけてもいい」という山本太郎のような原発タレントは、この点を取り違えている。福島原発事故は命の問題ではなく、純然たる経済問題なのだ。
経済問題と考えると、農産物の年間出荷額が2400億円の福島県で5兆円もの賠償を東電が行なうのは、どう考えても過大であり、数兆円もかけて除染を行なうのは税金の浪費である。これは高木も久米も想定していなかった問題であり、当時かれらの部下だった小出裕章氏も費用対効果をまったく理解していない。
来月から除染が始まり、原発事故は巨額の財政負担として問題になる。除染の基準を年間1mSvに設定して「安全のために費用は惜しまない」といっていた細野原発担当相も、基準を20mSvに引き上げた。これを攻撃する反原発派は、20mSv以下で発癌率が上がる証拠を見せてほしい。それは高木以来の原発反対運動の見逃していた盲点なのだが、彼らはいまだにそれに気づいていない。