今年は原発事故で、今まで世の中に相手にされなかった人々がスターになった年だった。今週のメルマガが「笑える」と好評だったので、一部を転載しておこう。
  • 武田邦彦「原発が核爆発する」という発言で物笑いの種になり、さすがに元の記事を訂正したが、私が批判したら意地になって「臨界=核爆発」だと言い始めました。この定義によれば、すべての原発は「核爆発」していることになる。「1mSv以上はすべて危険だ」とか「福島の野菜は青酸カリより危険だ」などという話は、もっと根も葉もないデマ。彼は放射線医学の専門家ではないのだから、こういう話には何の科学的根拠もない。

  • 小出裕章:「チェルノブイリで数十万人が死んだ」という彼の話は、最新の国連科学委員会の調査で否定されました。確認された死者は62人。それ以外に発癌率の増加は観察されていない。このように微量放射線の健康被害のデータが蓄積されて、その影響が軽微であることがわかってきたのが最近の進歩ですが、それは小出氏にとっては「不都合な真実」なのでしょう。

  • 広瀬隆:彼も昔から放射能デマを飯の種にしてきた人物。福島事故の直後にも、「福島第一は全壊する」とか「大阪まで死の灰が飛んでいく」などと恐怖をあおりました。特にECRRなる団体の情報を根拠にして山下俊一氏などを刑事告発したのは、言論人としての自殺行為です。その「治療法」として「うちの娘のつくった生味噌は放射能にきく」と言っている。

  • クリス・バズビー:このECRRはEuropean Committee on Radiation Riskというもっともらしい名前がついていますが、EUとは何の関係もない反核団体。その実態はクリス・バズビーなる人物の「ひとりNGO」です。「福島事故で40万人死ぬ」などと誇大な被害を宣伝し、彼も「放射能にきくサプリ」を売っています。

  • 岩上安身:彼が「スクープ」した横浜のストロンチウムは、文部科学省の調査によれば「原発とは無関係」。その量も最大1.1Bq/kgと、暫定基準値の数千分の一。最近は「お待たせしました!福島の奇形児についてスクープです!」とツイートして批判を浴びました。いうまでもなく先天性奇形は一定の確率で生まれてくるもので、被災地で一人生まれたからといって何の証拠にもならない。

  • 早川由起夫:おまけ。群馬大学の教授(火山学)。「福島の農家はオウム信者と同じ」などとツイッターで発言して訓告処分。本人はまったく反省せず、「福島県ナンバーの車がこわい」などとデマを流し続けている。
悪名は無名にまさるというが、武田氏などはこれで数千万円はもうけただろう。しかし彼が「青酸カリより危険だ」と宣告した福島県の野菜をつくっている農家や、岩上氏が「奇形児が産まれる」という偏見を流布した福島県の母親の迷惑を、彼らはどう考えているのだろうか。チェルノブイリ事故の死者は数十人だが、必要もない退去命令で20万人が家を失い、1250人がストレスで自殺し、10万人以上が妊娠中絶した。原発事故の最大の被害を生み出しているのは、こういうデマゴーグなのである。