カバー表1ギリシャからイタリアに波及し、全欧州を巻き込む財政危機。同じような光景が日本でも繰り広げられることになるのか? また、それを止めるには? 解決できない年金問題、拡がる世代間格差など、難題山積みの日本経済を救うのは一人の若者政治家なのだろうか?

2015年、ハイパーインフレの吹き荒れる日本で、首相に指名された小泉進次郎が記者会見で差し出した1冊の本。それが経済学者ミルトン・フリードマンが1962年に書いた『資本主義と自由』だった・・・

衝撃の近未来経済小説『もし小泉進次郎がフリードマンの「資本主義と自由」を読んだら』のコミック版が、電子書籍(アゴラブックス)と紙の書籍(日経BP社)で同時発売(電子版は最初の部分が立ち読みできます)。

あらすじ
民自党は2013年の総選挙で主民党から政権を奪還。しかし、衆参はねじれたまま。不安定な政権運営が続いていた。最大の問題は財政危機。2014年にようやく消費税率を10%に上げたが、不況による所得税などの税収減でほとんどプラスマイナスゼロとなり、財政赤字は増え続けた。

2015年最初の国債入札では、長期国債が大量に売れ残り、長期金利が急上昇。山柿首相は「財政非常事態宣言」を出し、売れ残った国債を日本銀行にすべて引き受けさせた。

しかしこれが「日本の財政はついに破綻した」というシグナルを市場に送る結果となり、邦銀はいっせいに国債を売り始めた。外資系ファンドも大量の空売りをかけたため、国債は暴落して長期金利は10%を超えた。邦銀は数十兆円の含み損を抱え、日経平均株価は6000円を割った。

長い間デフレの続いていた日本経済だが、いったんインフレが起こると、それが増幅するのは速かった。物価は1カ月で10%以上も上昇し、石油危機のときのような「狂乱物価」が始まった。人々は現金を実物資産に替えようと走り出し、金先物の相場は1ヶ月で20%も上がった。円建て資産を売って外貨建てに替えようとする動きも広がり、為替は1ドル=150円まで下がった。これはさらに輸入物価のインフレを引き起こし、それによって金利が上がる・・・というインフレ・スパイラルを巻き起こす。

これを止めるには日銀が国債の引き受けを止めるしかない。がしかし、それは日本政府の債務不履行を意味する。山柿首相は歳出を凍結し、消費税を20%に引き上げる「緊急財政再建法案」を通常国会に提出したが、主民党の後原誠司代表が「歳出削減が先だ」と反対して、法案は参議院で否決された。このため山柿内閣は総辞職し、総裁選挙が行なわれた。

民自党内では「このままでは日本経済が破綻する」という危機感が強まり、山柿が後継指名した岩原に対して、若手議員が結束して「ガラガラポンで行こう」と小泉進次郎を推した。総裁選挙で小泉は「新たな小泉改革を行なう」という主張を掲げて闘い、大方の予想を裏切って当選したのだ。

そして、彼が最初の会見で、記者に掲げたのは経済学者ミルトン・フリードマンが1962年に書いた『資本主義と自由』だった。彼はそのなかに書かれていた14の政策を「農業補助金の廃止」や「関税の撤廃」など10項目にまとめ、実行を約束するという。野党などからの大きな反発を受けながらも実行しようとする進次郎。小泉進次郎という若い政治家をキャプテンにして、日本という巨大船はどこへ向かっていくのだろうか・・・