朝日新聞がきのうの1面トップで報じたところによると、
東京電力福島第一原発事故に伴い、放射性物質の除染対象になる可能性のある地域は、最大で福島県全体の7分の1に当たる約2千平方キロに及ぶことが専門家の試算で分かった。森口祐一東京大教授(環境システム工学)が試算した。
森口教授によると、年間の追加被曝(ひばく)線量を1ミリシーベルト以下に抑える目安として、毎時1マイクロシーベルト以上の分布域を、6月下旬に測定された空間線量のマップから抜き出した。低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ケ所村)と同じ構造の中間貯蔵施設を造ると仮定すると、建設費は約80兆円になる。
というのだが、この記事は間違いだらけである。森口氏はJ-WAVEの番組で「朝日新聞の報道は誤解をまねく」とコメントし、ツイッターでも
朝日新聞は原発事故以来、AERAで「放射能が来る」という特集を組み、週刊朝日では広瀬隆氏の「福島はチェルノブイリになる」という主張を連載し、本紙では「原発ゼロ社会」を実現するために浜岡原発をすべて廃炉にしろなどと極端な主張を続けている。彼らがそう主張することは自由だが、その主張に合わせて事実を歪曲することは報道機関としての自殺行為だ。
そもそも森口氏も指摘するように「追加被曝線量を年間1ミリシーベルト以下に抑える目安として、毎時1マイクロシーベルト」というのは、計算が間違っている。1μSv/hなら、年間8.76mSvである。森記者は、こんな簡単な掛け算もできないのか。朝日新聞の校閲部は、検算もしなかったのか。
かりに「年間の追加被曝線量を1ミリシーベルト以下に抑える」ことが目標だとすると、日本の平均年間線量は1.4mSvだから、2.4mSv以上の地域をすべて除染することになる。しかし年間2.4mSvというのは世界の平均線量である。こんな基準で除染したら、福島県の1/7どころか、全国で除染が必要になる。
アゴラでも書いたように、年間100mSv以下で発癌率が増加する科学的根拠はない。除染を急ぐことは重要だが、やみくもに範囲を広げると、東電ばかりでなく国や自治体の財政が破綻するおそれがある。細野原発担当相は「経済性を考えずに除染する」と述べたが、とんでもない話だ。すべての環境問題は経済問題とのトレードオフであり、経済性に配慮して科学的な除染基準を決めるべきである。
「しわ寄せをだれが負担するのか」など私自身が語っていない表現も含め、不正確なところがあります。たとえば、年間1mSv/hと1μSv/hとを対応させたわけではありません。などと、この記事を批判している。少なくとも「福島県の7分の1」とか「80兆円」という表現は専門家の見解ではなく、森治文という記者の勝手な計算である。常識的に考えて、国家予算に近い80兆円などという除染費用が出せるはずもない。
朝日新聞は原発事故以来、AERAで「放射能が来る」という特集を組み、週刊朝日では広瀬隆氏の「福島はチェルノブイリになる」という主張を連載し、本紙では「原発ゼロ社会」を実現するために浜岡原発をすべて廃炉にしろなどと極端な主張を続けている。彼らがそう主張することは自由だが、その主張に合わせて事実を歪曲することは報道機関としての自殺行為だ。
そもそも森口氏も指摘するように「追加被曝線量を年間1ミリシーベルト以下に抑える目安として、毎時1マイクロシーベルト」というのは、計算が間違っている。1μSv/hなら、年間8.76mSvである。森記者は、こんな簡単な掛け算もできないのか。朝日新聞の校閲部は、検算もしなかったのか。
かりに「年間の追加被曝線量を1ミリシーベルト以下に抑える」ことが目標だとすると、日本の平均年間線量は1.4mSvだから、2.4mSv以上の地域をすべて除染することになる。しかし年間2.4mSvというのは世界の平均線量である。こんな基準で除染したら、福島県の1/7どころか、全国で除染が必要になる。
アゴラでも書いたように、年間100mSv以下で発癌率が増加する科学的根拠はない。除染を急ぐことは重要だが、やみくもに範囲を広げると、東電ばかりでなく国や自治体の財政が破綻するおそれがある。細野原発担当相は「経済性を考えずに除染する」と述べたが、とんでもない話だ。すべての環境問題は経済問題とのトレードオフであり、経済性に配慮して科学的な除染基準を決めるべきである。