
本書は広島・長崎などの被曝者を調査したこの分野の権威が放射線の影響について書いたものだが、著者が強調するのは原爆のような大量の放射線の影響と、原発のような微弱な放射線の影響は本質的に違うということだ。被爆者についてのデータは大量にあるので、即死するような大量の放射線の影響はよくわかっているが、微量の放射線の影響は癌にかかる確率が上がるだけなので、検出がむずかしい。日本人の約50%は癌にかかるので、特定の母集団でそれが1%上がっても誤差の範囲に入ってしまうからだ。
ところが国際放射線防護委員会(ICRP)は1958年に、医学界の反対を押し切って「放射線による健康被害には閾値がなく、被曝線量と発癌性には線形の関係が成り立つ」という閾値なし線形仮説(LNT仮説)を採択し、これが今でも各国の安全基準に採用されている。これは科学的に実証されていない仮説であり、被爆者のデータでも200ミリシーベルト以上では線形の関係が見られるが、それ以下では見られない。
放射線によって癌が発生するのは遺伝子(DNA)が傷つけられるためだが、微量の放射線は普通の環境にもある。特に紫外線が遺伝子を傷つける力は強いため、生物は遺伝子を補修する機能をもっている。したがって、いま生存している個体は放射線による遺伝子の破壊には強いと考えられる。むしろ微量の放射線は細胞を活性化させて健康になるというホルミシス仮説もある。
各国がLNT仮説を採用しているのは、原子力施設を設計するとき安全マージンを取るためであって被害を予測するためではない。ICRPでも「この仮説は放射線管理の目的のためにのみ用いるべきであり、すでに起こった微量の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない」と警告している。にもかかわらず日本政府がLNT仮説にもとづいて避難勧告を出したりするため、マスコミが誇大に騒ぎ、孫氏のような誤解が生まれるのだ。
本書はLNT仮説を、実証的根拠なしに政治的に採択された「20世紀最大の科学的スキャンダル」と強く批判し、微量の放射線の人体への影響はないと断定している。少なくともLNT仮説が実証されていないことはICRPも認めているので、政府もマスコミも無批判にこの基準を適用すべきではない。地球温暖化のように、実証されていない仮説にもとづいて政策を実行するのは間違いのもとである。
放射線によって癌が発生するのは遺伝子(DNA)が傷つけられるためだが、微量の放射線は普通の環境にもある。特に紫外線が遺伝子を傷つける力は強いため、生物は遺伝子を補修する機能をもっている。したがって、いま生存している個体は放射線による遺伝子の破壊には強いと考えられる。むしろ微量の放射線は細胞を活性化させて健康になるというホルミシス仮説もある。
各国がLNT仮説を採用しているのは、原子力施設を設計するとき安全マージンを取るためであって被害を予測するためではない。ICRPでも「この仮説は放射線管理の目的のためにのみ用いるべきであり、すでに起こった微量の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない」と警告している。にもかかわらず日本政府がLNT仮説にもとづいて避難勧告を出したりするため、マスコミが誇大に騒ぎ、孫氏のような誤解が生まれるのだ。
本書はLNT仮説を、実証的根拠なしに政治的に採択された「20世紀最大の科学的スキャンダル」と強く批判し、微量の放射線の人体への影響はないと断定している。少なくともLNT仮説が実証されていないことはICRPも認めているので、政府もマスコミも無批判にこの基準を適用すべきではない。地球温暖化のように、実証されていない仮説にもとづいて政策を実行するのは間違いのもとである。
http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/
・原発周辺のガンの危険性(ドイツ連邦放射線防護庁)
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=12
こういったものはどうお考えでしょうか?
池田さんの話には今回に限らず内部被爆について語られておりませんが、意図して触れられていないのでしょうか?